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浦和地方裁判所 平成6年(わ)802号 判決

被告人(一)

商号

株式会社フロアー技研工業

(代表者代表取締役 乗松一男)

本店所在地

埼玉県大宮市日進町一丁目三一番地の八

被告人(二)

氏名

乗松一男

年齢

昭和二六年二月一九日生

本籍

埼玉県大宮市日進町一丁目三一番地の八

住居

埼玉県大宮市日進町一丁目二九番地の一

職業

会社役員

検察官

原秀樹

弁護人

塚田斌(私選)

主文

被告人株式会社フロアー技研工業を罰金一八〇〇万円に、被告人乗松一男を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人乗松一男に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社フロアー技研工業(平成三年四月二八日以前の商号は有限会社フロアー技研工業。以下、「被告会社」という。)は、埼玉県大宮市日進町一丁目三一番地の八に本店を置き、左官工事業を目的とする会社、被告人乗松一男(以下、「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、外注費を水増しし、架空に計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八九七一万六四一九円あったのにもかかわらず、平成三年五月二九日、埼玉県大宮市土手町三丁目一八四番地所在の所轄大宮税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六四万〇五六七円でこれに対する法人税額が八八万八四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三二七五万二七〇〇円と右申告税額との差額三一八六万四三〇〇円を免れ、

第二  平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇三八九万八二九二円あったのにもかかわらず、平成四年六月一日、前記大宮税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五〇万五二四一円でこれに対する法人税額が三八万九三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三七八八万九七〇〇円と右申告税額との差額三七五〇万〇四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人に対する収税官吏(大蔵事務官)の質問てん末書一一通

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  登記官認証の商業登記簿謄本及び閉鎖商業登記簿謄本

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  大宮税務署長作成の平成五年三月一〇日付け課税状況の回答書

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の不突合金額調査書

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の売上高調査書、受取手数料調査書、交際接待費調査書、交際費等の損金不算入調査書、受取利息調査書、受取配当金調査書、支払利息調査書、事業税認定損調査書、外注費調査書、消耗工具調査書、現金調査書、預金調査書、普通預金調査書、定期預金調査書、定期積金調査書、美術品調査書及び代表勘定調査書

一  乗松美音子に対する収税官吏(大蔵事務官)の質問てん末書九通

一  佐々木シズエに対する収税官吏(大蔵事務官)の質問てん末書六通

判示第一の事実について

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の脱税額計算書(平成二年度分のもの)

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の修正損益計算書(平成二年度分のもの)

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の修正貸借対照表(平成二年度分のもの)

判示第二の事実について

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の脱税額計算書(平成三年度分のもの)

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の修正損益計算書(平成三年度分のもの)

一  収税官吏(大蔵事務官)作成の修正貸借対照表(平成三年度分のもの)

(法令の適用)

一  被告会社について

罰条 法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

併合罪の処理 刑法四五条前段、四八条二項

二  被告人について

罰条 法人税法一五九条一項

刑種の選択 懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に法廷の加重)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

(情状)

被告会社は、二事業年度分の法人税合計六九三六万四七〇〇円を免れ、その平均ほ脱税率は、九八パーセントである。被告会社及び被告人の責任は重いといわざるを得ない。

他方、被告会社は、右二事業年度分について修正申告を行い、各年度分の内金として、それぞれ一〇〇〇万円を納付した。

(求刑被告会社につき罰金二〇〇〇万円、被告人につき懲役一年)

(裁判官 肥留間健一)

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